株式会社新潮社
LGBT当事者による思春期の“アイ”の物語『拝啓、世間様。』、「くらげバンチ」にて6月28日より連載開始。
出版
多様性が叫ばれる時代に送り出す、秘められた青春の記憶。
今から20余年前、とある地方の女子高生橘りのは、学校に通い、そこそこ勉強し、仲良しの女友達とのおしゃべりを楽しむどこにでもいる“普通”な子だった。ただ、自分の体に“違和感”があることを除いては。
現代よりさらに“普通”が求められた時代で、違和感を隠しながらも懸命に生き、自分らしさを模索していく“アイ”の物語。
著者は神崎新さん。LGBT当事者でもあるという神崎さんに本作を描くことになったきっかけなどについて語ってもらいました。
■著者に聞く10の事
- Q1.自己紹介をお願いします。
この度「拝啓、世間様。」という漫画を体験を参考に描かせて頂く事になりました。
宜しくお願い致します。
- Q2. FTMとはなんでしょうか?
女性から男性へ「Female to Male」という意味で、最近言葉が浸透してきたLGBTの中の「T」に当たる《トランスジェンダー》の中の1つのアイデンティティーの1つです俗語で「オナベ」とも呼ばれたりもしますね「オカマ」と合わせて。これって言わない方が良いのかな?俺は過去オナベBARで働いてもいたので、気にしないですが。嫌な人の方が多いみたいですね。
- Q3. 漫画家になろうと思ったのは何故ですか?
- Q4. この漫画を描こうと思ったきっかけはなんですか?
まだ知らない昔の自分の様な人が一人で悩まないように、知識の一つとして、生き方の一つとして共有できたらいいなと思い描かせて頂きました。
- Q5.この漫画をどのような人に読んで欲しいですか?
誰にでも読んで貰いたいと思ってます。
それと、昔の自分ですかね。
タイトルの通りこの作品は結構、世間様への恨み節もあったり、LGBTとは関係ない事があったり、思ってた様な物ではないかもしれません。それは主人公の「橘りの」の人生を描いているからです。
エンターテイメントの一つとして、作品として、そしてこれは現実にある事で、知識の一つとして、「りの」という人間の生き方を見てもらえたらいいなと思っています。
それが自分なのか、友達なのか、家族なのか、知らない人なのか、時代は変わっても自分と同じ悩みを持ってる人は多いと思うし、世界はLGBT関係者だけなく、1人の人間が生きていくうえで取り巻く環境に様々な人達がいますので、世間様みんなに、そして過去の自分に、何か一つでも経験を与えられたらなと思います。
- Q6. ご自身はどのような高校生活でしたか?
でも当時屋台で働いてる時に、目の前の道を同じ歳頃の学生が友達と楽しそうに歩いてるのとか見て「いいな‥」と思いと「ムカつく」という苛立ちでぐちゃぐちゃでしたね。
自分で選んだ事ですし、生活に不満は特になかったですけど、その時はまだ自分が何者だという事も知らなくて、何もかもに反抗しながらもひたすらに自分の事を隠す事に必死だったので、制服を着て楽しそうに友達同士遊んでるのが羨ましかったんだと思います。
自分には出来ない事でしたから。そう思うと、漫画を描いて、漫画家になるという夢が俺にはあったので、夢中になれる事があって良かったなと思ってます。
- Q7.いつ頃から自覚がありましたか?
「あ、自分心が男なんだ」と自覚したのはFTMという存在を知って、それを受け入れた時なので21歳頃ですが、自分が「女という生き物なんだ」と自覚したのは小学校に入ったくらいだと思います。
それまでは、いつ自分にもおちんちんが生えてくるのかと悩んでましたね。
自分が男だと自覚するのでは無く、自分は女なんだというのが第一の自覚です。
- Q8. カミングアウトしたのは何時頃ですか?
俺はFTMという存在を知って、その世界に飛び込むのが遅めだったので、そういう自分で居て良いとなった時に、女の子を好きになっていいんだと、ずっと好きだった人への好きだった想いが溢れ出て、その人に気味悪がられて離れらてしまった時に、その時居た別の友達に泣きながらカミングアウトしましたね。カミングアウトというか、酔っ払った勢いで全部想いの丈を出してしまった感じですが笑
でもその時をきっかけに世界が全て変わりましたので、良い経験でした。
- Q9.ご自身にも“花菜子”のような方はいましたか?
恥ずかしいので、詳しくは話しませんが初恋でした。
- Q10.読者に向けて一言お願いいたします!
こんな生き方もあるのかと、“りの“の人生を、楽しく見て、知ってもらえたら嬉しいです!
■著者紹介:神﨑 新(かんざき・しん)
FtM当事者。『反逆の影使い』(講談社)で連載デビュー。著作に『ラチエンブラザーズ夢のカケラ』『Vマ生徒会キャラデザ』などを連載。2022年6月28日より本作を連載開始。
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