JR東日本が検証結果を発表「室外機に放射冷却素材【ラディ クール】を施工することで、室外機の冷却にかかる費用を従来の半分に削減することが可能」
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放射冷却素材ラディ クールフィルムの貼付のみで、散水機による従来の冷却より-3℃の効果
ラディ クール ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:何 軍)(以下、ラディ クール社)は、放射冷却素材Radi-Cool(以下、ラディ クール)の日本国内での普及を目指し、開発・製造・販売を行っています。 この度、東日本旅客鉄道株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:深澤 祐二)(以下、JR東日本)は、蓮田駅に設置している冷却設備切り替えにあたり、ラディ クール素材での実証実験を行いました。以下、JR東日本 大宮機械技術センターによる2022年度業務改善発表会の中で発表された「冷暖房装置における放射冷却素材を用いたコストダウン対策について」です。 【ラディ クール ジャパン公式サイト】 https://www.radi-cool.jp/ (外部リンク)
放射冷却素材Radi-Cool製品一覧
- JR東日本 蓮田駅に設置されている室外機を取り巻く状況
駅舎撤去に伴う散水機の施工要否の検討が迫られる
【これまでの課題と背景】
蓮田駅では西日が直射する位置に室外機が設置されているため、夏季に高圧カット(室外機から室内機へと送られる冷媒の圧力が過剰に高まり、安全のため緊急停止を起こすトラブル)が度々発生していました。これを受け、室外機用の散水機を設置し温度管理を行っていましたが、駅舎撤去に伴う散水機の施工要否の検討を迫られることとなりました。
【駅舎撤去に伴う散水機の施工要否の検討】
・蓮田旧駅舎の撤去計画により、給水管の撤去および新設工事が発生
・2024年度末迄に当該の室外機を設置している建屋が移設予定
・建屋移設に伴い、室外機が不要となるため散水機が不要
・散水機の水道使用量が夏季平均13㎥のため、水道代もかかる
以上の理由から、散水機よりも安価に施工が行える代替案を検討するに至りました。
そこで検討されたのが、以下の4つの案です。
【実施に向けた検討案作成】
①従来施工方法による
給水管の取替を実施し、従来と同様の構成とする。
●:当初計画の為、方針変更が不要で速やかに対応可能
▲:給水管取替に大きな費用が掛かる
②室外機屋根改築を実施し直射を避ける
建材を改良し、直射の影響を受けない構成とする。
●:排熱を考慮する必要があるが、給水管等施工・水道使用が不要
▲:建屋改修に大きな費用が掛かる
③散水機撤去、ラディ クール社製フィルムを貼付する
給水管の取替を不要とし、室外機本体へシート貼付する。
●:配管新設・建屋改良・水道使用のコスト減
●:設備のスリム化
▲:貼付物の為、経年劣化により剥離の恐れ
④散水機撤去、ラディ クール社製塗料を塗装する
給水管の取替を不要とし、室外機本体へ塗装する。
●:配管新設・建屋改良・水道使用のコスト減
●:設備のスリム化
▲:塗料材の為、塗りムラにより熱交換が行えない恐れ
検討案の結果、散水機代替案として③④のラディ クール社の製品で効果検証を実施することとなりました。
- ラディクールの性能と効果
地球上のあらゆる物体は熱を放射する際に電磁波の領域で放射しており、受ける熱よりも放射する熱量が上回る現象を「放射冷却」と言います。放射冷却素材のラディ クールは、受けた熱を効率良く放熱することによって物体を冷やす技術です。ラディ クール製品は日射を高い割合で反射する既存の技術と、高い放熱技術を複合することにより、製品表面への蓄熱を防ぎ、なおかつ裏面の熱も吸収し、放射も可能としています。放射する時に熱を「大気の窓」と呼ばれる大気にほとんど吸収されることのない波長領域に集約することによって、熱を宇宙空間へ放出させることができるため、環境負荷がなく、ゼロエネルギーで物体を冷却する技術として、科学雑誌「サイエンス」や英国の経済雑誌「エコノミスト」に掲載され、世界的な関心を集めています。
フィルム、塗料、布製品の開発により、大型建築・太陽光発電所・低温物流・交通輸送・農業など幅広い用途で使用されています。産業向けアイテムのほか、アウトドアスポーツや屋外での活動に最適な、キャップ・ハット・ネックガードなどの衣類、車体フロントガラス用のカーシェード、ペットウェアや日傘といった一般向け商品も販売しています。
■実施試験
【条件】
・ラディ クールの信頼性の確認のため、施工前から温度データを取得する。温度測定器の設置位置は全7か所。
・室外機3台中、1台目は施工無し・2台目はラディ クール塗料を塗装・3台目はラディ クールフィルムを貼付する。
・施工と同時に散水機を停止し、効果を確認するため温度測定を継続する。
・外気温が同程度の日程を選定し、評価を行う。
施工前後の温度比較を実施したところ、9月4日(日)と9月13日(火)の外気温が同程度だったので、この2日間で比較しました。
9月13日(火) 晴れ 放射冷却材 施工 散水OFF 36.5℃
検証結果は-3℃。ラディ クールフィルムの貼付のみで、散水機による従来の冷却効果を上回る結果となりました。
この結果、ラディクールの施工の場合は散水機の設置が不要・散水用水道使用が無い・建築系統による給水管施工が不要となるため、従来施工方法と比べ、室外機の建屋が撤去される2024年3月までのトータルコストに大きな差が生まれます。これらのトータルコストを計算し比較したところ、従来施工方法に比べ、ラディクールの施工はフィルム貼付で約56%、塗装で約51%のコストダウンが可能となることが分かりました。
【今後の展望】
以上の結果から、蓮田駅の室外機においては、ラディ クールフィルムの貼付が効果的と推察されました。ラディ クールは室外機の冷却にかかる費用を半分に削減することが可能であると明らかになったことから、今後、散水機が設置されている室外機へのラディ クールの導入を加速させます。フィルムによる貼付を基本とし、設置条件(作業スペースが確保できない時等)により塗料を採用します。
(引用資料)
JR東日本 大宮機械技術センター 2022年度業務改善発表会
「冷暖房装置における放射冷却素材を用いたコストダウン対策について」
■会社概要
ラディ クール ジャパン株式会社
代表者:代表取締役社長 何 軍
所在地:〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4-4-3 喜助日本橋室町ビル5F Nano Park
業種:Radi-cool 放射冷却素材の開発・製造・販売
電話番号:03-3527-9551
資本金:1億円
URL:https://www.radi-cool.jp/ (外部リンク)
ラディ クール ジャパン株式会社は、エスダムスメディアJAPAN株式会社の関連会社です。