プレスリリース

2022年9月13日 9時30分

株式会社建設技術研究所

床版合成効果を考慮した鋼橋の合理的な床版更新設計手法を開発しました。

出版

 株式会社建設技術研究所は、鋼橋の床版更新時における主桁-床版間の合成効果とそれを考慮した既設主桁の補強効果の検証を行い、床版合成効果を考慮した合理的な床版更新の設計手法を開発しましたのでお知らせします。

 

1.コンクリート床版の更新におけるこれまでの課題

 高度成長期に建設された鋼橋は、車両大型化や交通量増加に伴う疲労、劣化因子による経年的な損傷により、コンクリート床版の更新時期を迎えており、床版更新事業は喫緊性の高いメンテナンス事業に位置付けられます。一方、床版更新時に道路利用者のサービス水準を低下させないよう供用しながら施工する場合は、床版の合成効果を考慮しない非合成桁として設計することが一般的であり、補強工事規模が大きくなることが課題となっています。

 

2.合理的な床板更新設計手法の概要

 弊社は、床版更新時における主桁-床版間の合成効果について、大阪市立大学との共同研究を通じて、実験および解析の両面から各課題に対する定量的な評価を行い、合理的な床版更新の設計手法を開発しました。

①プレキャスト床版と一体化のためのスタッドジベルの最適化

 プレキャスト床版とスタッドジベルの一体化と床版合成効果を確認するため、要素実験で破壊形態や荷重と変形の関係を明らかにしました。その結果から、床版の合成作用を考慮した3次元FEMモデルの構築、およびプレキャスト床版と主桁間のずれ剛性の考慮によって、スタッドジベルの最適な配置間隔による合理的な構造を提案します。

鋼桁における床版更新の構成図

②床版更新における既設主桁の補強構造の合理化

 床版更新により既設主桁の補強が必要となった場合、一般的にL形鋼を増設し耐荷力を高める補強工法を採用していますが、その補強効果を明確に検証したものはありません。 

既設主桁に対して同補強を行った場合の床版合成効果を考慮したFEM解析により、既設主桁の応力発生状況を把握し、補強材(L形鋼)の最適な配置による補強効果の高い合理的な構造を提案します。

補強前後の応力分布


3.今後の展開

 今回得た知見を基に、プレキャスト床版におけるコンクリートモルタルの改良をはじめとした課題に対して、引き続き研究を進めて参ります。