プレスリリース

2012年4月20日 15時55分

日本電気株式会社

【NEC報道資料】利用されていない周波数を活用するコグニティブ無線の受信回路を開発 ~一つのチップで小型・省電力化を実現~

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2012年4月20日


NECは、利用されていない周波数帯を有効活用するコグニティブ無線(注)の受信回路を、一つのチップで実現する技術を開発しました。

コグニティブ無線とは、周囲の無線環境を認識して空き周波数を見つけ利用することで、効率的な通信を実現する技術です。災害現場で発生した無線通信の障害や、将来の周波数資源の不足を解決する技術として注目されています。

開発したチップは、30メガヘルツ(MHz)から2.4ギガヘルツ(GHz)の幅広い周波数帯において、任意の周波数の信号を受信するとともに、電波強度を計測して空き周波数を見つけることができる回路を搭載してします。

この幅広い周波数帯は、警察、消防、防災向けの公共業務用無線や、パソコンやスマートフォンなどに搭載された無線LANなど、主要な無線アプリケーションに対応しています。また、無線の受信回路を一つのチップで実現することで、無線機器の小型化と省電力化に貢献します。

このたび開発した技術の特長は、以下のとおりです。

1.任意の周波数の信号を選択して受信できる回路を、小面積のチップで実現
 複数の周波数から利用できる空き周波数を見つけ出す際に、従来は調べたい周波数以外の信号を除去するフィルタ部品を複数用意していたため、面積が大きく高コストになっていた。
 このたび、混信する複数の周波数の信号を除去できるフィルタ回路技術を開発。これにより、幅広い周波数帯から任意の信号を選択し受信できる回路を一つのチップで実現し、従来の複数のフィルタ部品を用いていた場合と比較して約1/3の小面積化と低コスト化を実現。

2.任意の周波数の電波強度を低消費電力で計測可能
 任意の周波数の電波強度を調べる検出器において、従来は弱い電波の強度を細かく計測するために、強い電波の強度も細かく計測していたため、計測結果を読み取るADコンバータの消費電力が大きくなっていた。
 このたび、大小様々な強度の電波を検出する用途と、弱い電波のわずかな強度の違いを細かく検出する用途の両方に、プログラムの変更で対応できる電力検出技術を開発。これにより消費電力の大きなADコンバータが不要となり、従来と比較して約1/2の省電力化を実現。


昨今、自然災害時などにより通信環境に障害が発生した時に、迅速かつ簡単に無線通信を確立し、コミュニケーションが取れる環境を復旧する必要性が高まっています。また、無線通信システムの大容量化・高速化により、将来の周波数資源の不足が懸念されています。これらを解決する手段として、誰も使っていない周波数帯を有効活用するコグニティブ無線技術が、世界中で注目されています。

NECでは今後も、コグニティブ無線技術・製品開発に積極的に取り組んでまいります。

詳細情報
http://www.nec.co.jp/press/ja/1204/images/2001-01-01.pdf

以上

(注) コグニティブ(Cognitive)無線
周囲の無線環境を認識(cognition)し、当該周波数帯域の免許者または他の利用者に対して干渉を与えることなく、通信パラメータ(無線周波数、ユーザの動作、性質、ネットワークの状態等)を柔軟に適宜変更し、効率的な無線通信を行う技術

<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC 知的資産R&D企画本部 広報グループ
URL: https://form.nec.jp/nec/276rd/4b126d/Inquiry.do?fid=4b126d